ラグビーのはなし。
2/6(土)から、ラグビーシックスネーションズ RBS 6 Nations が始まりました。
シックスネーションズは、イングランド・スコットランド・ウェールズ・アイルランドのUK4か国とフランス・イタリアの合計6か国で総当たり戦をおこなう、北半球王者を決めるリーグ。
特にUK4か国は民族と歴史のプライドをかけた戦いであり、9月のW杯で決勝トーナメントに進出できなかったイングランドは、かなり気合が入ってます。
ロンドン暮らしの始まり でも書いたとおり、ラグビーが大好きな私にとって、ラグビー発祥のこのイングランドで、W杯やシックスネーションズの盛り上がりを生で体感できるのは、本当に本当に幸せです。
そもそも、なんでこんなにラグビーが好きになったのか。
それをぜひ皆さんに知ってもらいたい。
そして、マイナースポーツや企業スポーツに興味を持っていただけたら、とっても嬉しい。
私自身、小中高はバスケ部、大学は弓道部と、学生時代はラグビーとは縁もゆかりもない生活。
両親はいわゆるラグビー世代なので、お正月に日本選手権をテレビで見るくらい。
ラグビーにどっぷりハマったのは社会人になってから。
私の会社はトップリーグ(サッカーでいうJリーグ)に所属するラグビー部を持っていて、同期や先輩にはラガーマンがたくさんいました。
とにかく、でかい。とにかく、黒い。とにかく、ごつい。
バスケ選手の「でかい」とは、全く異質のでかさ。
社員選手は普段は普通に仕事をしていますが、シーズンが近くなると、半日仕事・半日練習だったり、一日練習だったり、忙しい日々を送っています。
入社一年目の秋、同じ部署の先輩たちとさっそく試合を見に行きました。
同じ部署にレギュラー選手の先輩がいたのと、同期にも学生時代からトップクラスで活躍していた選手がいたので、最初は「友達が出てるから」っていう感覚。
生で観て、衝撃を受けた。
骨と骨がぶつかる音。ラグビー場はグラウンドと観客席が近いので、前のほうで見てるとピッチ上の音がリアルに聞こえる。
体が壊れちゃうんじゃないかっていう、激しいプレー。全力で走る選手へのタックル。タックルを受けた選手も勢いよく倒れる。そこにどんどん人が重なっていく。
とにかく、今まで見たスポーツとは全然違って、その迫力に衝撃を受けた。
しかも、目の前でそんなプレーをしているのは、普段会社でスーツ着て一緒に仕事をしている同僚たち。
普段は同じ空間で同じ作業をしているのに、試合の瞬間、彼らは私と違う世界にいる。
スーツを着た彼らと、ジャージを着た彼ら。同一人物というのが信じられない。
最初はその迫力に感動して、「生で観戦する楽しみ」に魅了されました。
そうして何度も会場に足を運んだ結果、もっと衝撃を受ける光景に遭遇しました。
ある試合の後、ラグビースクールの子どもたちが、きらきらした目で私の同期からサインをもらっていたのです。
そこには列ができていて、ジャージを着た小さな子どもたちが興奮した様子で、彼からサインをもらい、写真を撮り、握手してもらう。
子どもたちが本当にみんな憧れの視線を向けている。
この光景に衝撃を受けた。
同じように会社に入って同じように働いていると思っていたけど、彼は会社での仕事だけじゃなくて、「ラグビーを通じて子どもたちに夢を与える」というもうひとつのとっても重要な役割を持っていました。
陳腐な表現だけど、「夢を与えるってこういうことか」と心から思いました。
何気なく普段話している同僚が、子どもたちにとっては憧れのヒーローなんです。
そう思ったら、選手たちがとてもまぶしい存在になった。
そもそも自分の知り合いがサインをせがまれているところなんて、初めて見た。笑
彼らは、社員をラグビー選手という2つのミッションをこなすために日々努力していて、ひとたびグラウンドに立てば、信じられないようなプレーを見せてくれる。
観客を沸かせ、子どもたちをきらきらさせる。
同じ会社で働いているけれど、それは私には絶対にできないこと。彼らにしかできないこと。
彼らが同期や先輩という近い存在だったからこそ、私自身も彼らの姿に励まされ、勇気をもらい、「私も負けないように、もっともっと頑張らないと!」と強く思うようになりました。
これが私がラグビーにハマった最初のきっかけ。
私の中では、スーツの彼らとジャージの彼らは全く別物。スーツのときは同僚だけど、ジャージのときは憧れのヒーロー。
もちろんルールがわかってゲームがわかってくれば、試合を見ること自体もより楽しくなっていったけど、私はいつまでもヒーローたちにヒーローでいてほしい。だから応援し続ける。
私にできないことをやっている彼らを尊敬するし、応援し続けたい。
まぁ、要はミーハーです。笑
でも何年もずっと観てきて、企業スポーツって大変なんだなというのもわかる。
ラグビーに限らず、企業の業績不振に伴い、名門の陸上部やバドミントン部など廃部になったチームもたくさんあります。
ドラマ『ルーズヴェルト・ゲーム 』でも、青島製作所が野球部を持っていましたが、まさにあんな感じ。
そして、ドラマを見ていた方ならわかるように、全員が企業スポーツに理解があるわけではない、というのも現実です。
もちろん、その気持ちもわかるから、難しいなぁと思う。
けれど、そんな選手の姿に救われている人もいる。
スポーツは、夢や希望を与える。企業スポーツの価値も、そこにあるはず。
W杯の活躍後、日本は空前のラグビーブームだとか。
2019年には日本でW杯開催、その前に2016年夏のリオ五輪では7人制ラグビーが正式種目として採用され、日本は男女ともにオリンピックへの切符を勝ち取っています。
そしていよいよ、日本が初めて参入するスーパーラグビーも始まります。
こちらはもともと、南ア・オーストラリア・NZと南半球のリーグでしたが、今年から日本の サンウルブズ とアルゼンチンのジャガーズが加わります。
ラグビーの魅力はあの迫力。そして選手と観客の近さ。
ぜひ機会があったら会場まで足を運んでみてください!
超超超♡幸せなことに、私はロンドンでW杯を体験し、あの歴史的勝利を収めた南ア戦や、NZ対AUSの決勝を生で観戦することができたので、その様子も今後お伝えしたいと思います!
★写真は2014.11.08に秩父宮ラグビー場でおこなわれた日本代表対NZマオリ代表戦の後、こどもたちにサインを書いている五郎丸選手。今やあのルーティンポーズで超有名ですね。こうやって試合後に選手と触れ合える近さがラグビーの魅力。まさに夢を与えている瞬間。